日本母乳バンク協会とは

日本における母乳バンクの必要性Necessity

この数年、オーストラリア、ニュージーランド、ポーランド、トルコ、中国、インドなど多くの国で母乳バンクができてきました。その理由は、母乳が赤ちゃんの病気を防ぐだけでなく、赤ちゃんの将来にわたってよい効果をもたらすことがわかってきたためです。生まれたときの体重が1,000グラムに満たない未熟な赤ちゃんが助かる時代になりましたが、そんな赤ちゃんたちの生死にかかわる壊死性腸炎(腸の一部が壊死してしまう病気)は、粉ミルクで育てたときよりも母乳で育てたときのほうがかかりにくいことがわかっています。

 ほとんどのお母さんは母乳だけで赤ちゃんを育てられるといわれていますが、なんらかの理由で母乳が出ない、または、出ても赤ちゃんにあげられないお母さんもいらっしゃいます。そのような場合でも、生まれてきた赤ちゃんには最善の栄養を与えられるようにしたい――それは医療者・ご家族みんなの共通の願いです。そのためには、母乳がたくさん出るお母さんから母乳を提供してもらい、その母乳を低温殺菌処理したうえで、必要な赤ちゃんに提供する施設が必要です。  
  • ▲2年前は37か国で480-500の母乳バンクが存在
  • ▲2017年の現状、さらに増えており、日本も母乳バンクが存在する国として認められました
  • これが母乳バンクです。母乳バンクの歴史は100年以上あり(世界で最初の母乳バンクは1909年、ウィーンで誕生しました)、いまも世界中で増え続けているのです。
 日本の新生児医療は、世界でもトップクラスの成績を誇っています。日本では、ほぼすべての妊婦さんがわが子を母乳で育てたいと考えており、赤ちゃんが小さく生まれたり、何らかの病気があって新生児専門施設に入院した場合でも、お母さんたちは母乳をしぼってもって来られます。欧米にくらべて、日本では新生児専門施設での母乳率が高いのです。さきほど、小さな赤ちゃんが健康に育っていくためには母乳が大切とお話ししました。お母さんが昼夜を問わず一所懸命にしぼった母乳が、日本の新生児医療の素晴らしい成績につながっているとも考えられるでしょう。つまり、母乳は栄養以外に病気から赤ちゃんを守る“薬”としての効果がたくさんあるのです。

 新生児医療の現場では、お母さんの具合が悪く母乳をしぼれない場合は、ほかのお母さんの母乳“もらい乳”を使うこともめずらしくありません。世界中のどこでも、母乳の出ないお母さんにかわって乳母が赤ちゃんを育てた時代は、そんなに昔の話ではないのです。

 ただ、そうはいっても、母乳は体液でもありますので、“もらい乳”を与えることは感染管理上好ましくないと考える病院・施設もあります。ほかのお母さんの母乳を赤ちゃんに与える場合は、ドナーの健康状態を把握し、提供された母乳の検査を行い、安全性が確認されることが必要と考えられます。この一連の処理を行うのが母乳バンクなのです。
 日本には公に認められた母乳バンクはこれまで存在しませんでした。“もらい乳”が病院・施設だけでなくお母さんにとっても受け入れにくくなっている今こそ、“母乳が出ない・与えられない”というお母さんの赤ちゃんにも母乳を与える方法として、安全に管理された母乳バンクが必要なのです。

母乳バンクのもっとも大切な役割The most important role

■ 赤ちゃんを感染から守る為の対策

もっとも問題となるのは、ドナーミルクを与えることでレシピエントである赤ちゃんが何らかの病原体に感染してしまうことです。
レシピエントをドナーミルクによる感染から守るために、母乳バンクは以下のような対策をとっています。

  • ①ドナーになる女性は、登録時に診療録の確認ならびに検診を受けます。血液検査によって、母乳や血液からうつるウイルスや病原体(HIV1、HTLV-1、B型肝炎、C型肝炎、梅毒)をもっていないことが確認されています。
  • ②母乳を提供していただくとき、その時点での健康状態(ご家族を含めて)を確認しています。
  • ③提供された母乳は殺菌処理の前に細菌検査を行い、母乳に病原菌が含まれていないことを確認します。そして、62.5℃、30分の低温殺菌処理を行います。その後、あらためて細菌検査にて細菌が全く検出されないことを確認します。

■ 一般の粉ミルクの規制状況

一般の粉ミルクの細菌に関する規制は、1グラムあたり5万個以下であること、そして大腸菌が検出されないことになっています。つまり、1グラムあたり5万個の細菌は入っていてもよいことになっています。製造過程でどうしても取り除くことができない菌への対策として、粉ミルクを70℃以上のお湯で作るように調乳方法もかわりました。
母乳バンクから提供されるドナーミルクがいかに安全か、わかっていただけることと思います。

代表理事の水野は北米母乳バンク協会(HMBANA)のメンバーであります。また、当協会の母乳バンクはHMBANAの監査を受けています。

日本母乳バンク協会の活動目標Activity goal

時期 目標 規模 母乳バンク 研究
2019年8月 設立母乳バンク近隣の1500g以下の極低体重児ケアに必要な母乳の確保 ・年間300名に提供
・1500gまでのケアに対応
・常時母乳バンク数×10名のドナー
・東京(豊洲)
・長野
・奈良
・その他2か所程度
極低出生体重児への適用結果
2022年8月 ・日本全国の総合周産期医療センター
 に対応する母乳バンクの設立
・年間に誕生する1500g以下の極低
 体重児
・年間3000名規模
・2500gまでのケアに対応
・地域母乳バンク間のドナーミルク
 シェアリングネットワークの確立
全国の総合周産期医療センター、もしくは近隣拠点に設立 極低出生体重児の就学時点までのトレース
2027年8月 日本全国の2500g以下の低出生体重児のケアに必要な母乳の確保 ・年間5000人規模
・低出生体重児ケアにおける利用
 指針、マニュアルの確立
・大規模ドナーミルクネットワーク
 の確立
全国の大規模小児科病院に併設
時期 2019年8月
目標 設立母乳バンク近隣の1500g以下の極低体重児ケアに必要な母乳の確保
規模 ・年間300名に提供
・1500gまでのケアに対応
・常時母乳バンク数×10名のドナー
母乳バンク ・東京(豊洲)
・長野
・奈良
・その他2か所程度
研究 極低出生体重児への適用結果
時期 2022年8月
目標 ・日本全国の総合周産期医療センター
 に対応する母乳バンクの設立
・年間に誕生する1500g以下の極低
 体重児
規模 ・年間3000名規模
・2500gまでのケアに対応
・地域母乳バンク間のドナーミルク
 シェアリングネットワークの確立
母乳バンク 全国の総合周産期医療センター、もしくは近隣拠点に設立
研究 極低出生体重児の就学時点までのトレース
時期 2027年8月
目標 日本全国の2500g以下の低出生体重児のケアに必要な母乳の確保
規模 ・年間5000人規模
・低出生体重児ケアにおける利用
 指針、マニュアルの確立
・大規模ドナーミルクネットワーク
 の確立
母乳バンク 全国の大規模小児科病院に併設

一般社団法人 日本母乳バンク協会 組織図Organization chart

代表理事・社員 水野克己
(昭和大学江東豊洲病院 教授 こどもセンター長)
理事・社員 丸山淳(経営コンサルタント)
理事 三谷幸之介(埼玉医科大学 ゲノム医学研究センター遺伝子治療部門 部門長 教授)
理事 櫻井基一郎(昭和大学江東豊洲病院 講師 医学博士)
理事 若松美洋(看護師)
監事 仁志田博司(東京女子医大名誉教授)
専門委員(あいうえお順) サポーター
・五十嵐隆(成育医療研究センター総長・前日本小児科学会会長)
・板橋家頭夫(日本母乳哺育学会理事長・昭和大学医学部小児科学講座主任教授)
・金子淳子(山口県小児科医会副会長・金子小児科院長)
・楠田聡(日本新生児成育医学会理事長・NPO新生児臨床研究ネットワーク理事長)
・堺武男(赤ちゃん成育ネットワーク会長・さかいたけお赤ちゃんこどもクリニック院長)
・関沢明彦(昭和大学産婦人科学講座教授)
・中村友彦(新生児医療連絡会会長・長野県立こども病院副院長)
・藤井知行(日本産婦人科学会理事長・東京大学産婦人科学講座教授)
・和田和子(日本周産期新生児医学会理事長・大阪母子医療センター新生児科主任部長)
サポーター
企業契約(2017年5月現在)

日本母乳バンク協会の活動についてActivity

告知・広報 応募 来院・検診 レクチャー 搾乳器設置 搾乳 冷凍・送付
協会 小児科、産婦人科による告知 ホームページ、SNSなどによる告知 イベント、講演などでの告知 協会ホームページを通じた意思表示 地域「母乳バンク」へのマッチング ドナー近隣の「母乳バンク」を紹介 「母乳バンク」で必要となるドナーレクチャー用の資料作成、配布 搾乳器の手配
ドナー 協会ホームページへの募集 地域「母乳バンク」へ直接連絡・応募 来院
受診
検診結果が良好の場合
搾乳方法、保管方法、送付方法などを受講
搾乳器設置場所の確保と整理 搾乳の実施 搾乳した母乳の
冷凍
クール便による
送付
母乳バンク 地域の小児科、産婦人科の協力による告知 ドナーからの問合せ対応 予約・来院日時の確定 ドナー検診実施(妊娠時検査同等) 問診 生活環境等ヒヤリング 問診、
診断結果通知
ドナーに対する献乳方法などのレクチャー
搾乳した母乳の受け入れ
協会
告知
・広報
小児科、産婦人科による告知
ホームページ、SNSなどによる告知
イベント、講演などでの告知
応募 協会ホームページを通じた意思表示
地域「母乳バンク」へのマッチング
ドナー近隣の「母乳バンク」を紹介
レクチャー 「母乳バンク」で必要となるドナーレクチャー用の資料作成、配布
搾乳器設置 搾乳器の手配
ドナー
応募 協会ホームページへの募集
地域「母乳バンク」へ直接連絡・応募
来院
・検診
来院
受診
レクチャー 検診結果が良好の場合
搾乳方法、保管方法、送付方法などを受講
搾乳器設置 搾乳器設置場所の確保と整理
搾乳 搾乳の実施
冷凍
・送付
搾乳した母乳の
冷凍
クール便による
送付
母乳バンク
告知
・広報
地域の小児科、産婦人科の協力による告知
応募 ドナーからの問合せ対応
予約・来院日時の確定
来院
・検診
ドナー検診実施(妊娠時検査同等)
問診
生活環境等ヒヤリング
レクチャー 問診、診断結果通知
ドナーに対する献乳方法などのレクチャー
冷凍
・送付
搾乳した母乳の受け入れ

ロケーションLocation

  • 住所:〒142-8666 品川区旗の台1-5-8 
    昭和大学医学部小児科学講座
  • アクセス:
    【電車の場合】東急池上線/東急大井町線「旗の台駅」より徒歩5分
    【車の場合】環状8号線 南千束交差点から約5分
  • 住所:〒135-8577 江東区豊洲5-1-38 
    昭和大学江東豊洲病院内母乳バンク室
  • アクセス:
    【電車の場合】東京メトロ有楽町線/ゆりかもめ線「豊洲駅」より徒歩6分
    【車の場合】首都高速湾岸線「東雲JCT」豊洲出入口から約5分

沿革History

2013年6月 昭和大学医学部小児科学教室にて、母乳バンク準備室開設 朝日新聞
2013年10月27日朝刊
2014年7月 昭和大学江東豊洲病院に母乳バンク室開設
2017年5月 一般社団法人 母乳バンク協会設立

TOP