第4回International Congress European Milk Bank Association

第4回International Congress European Milk Bank Associationに参加しました。
もっともおおきなニュースはこれまで母乳バンクがある国を表した世界地図に日本は○がついていなかったのですが、今回とうとう日本に○がついていました。

海外ではいろいろな取り組みがなされています。一例をあげますと母乳バンクに提供された母乳中の細胞の遺伝子解析を行い、乳がんリスクの高いドナーを早期に発見するという取り組みが始まっています。
イタリアのある地域では助成金を使って小型自動車を購入しています。この自動車のドアや屋根には、母乳バンクを宣伝する魅力たっぷりのイラストが描かれています。これだけでも母乳バンクの宣伝になりますが、もちろん宣伝カーではありません。ドナーのご自宅に伺いて冷凍してある母乳を受け取りにいくのです。おたずねするのは母乳育児の専門家で、その際に搾乳のこと、母乳育児のこと、など質問があればお答えできるようになっています。
学術的なところでは、母乳成分への影響がもっとも少ない殺菌処理方法について研究がすすんでいます(high temperature short time, high pressure processing, UV-Cなど)。High temperature short time(HTST)は大きな機器が必要であり、母乳バンクで用いるのはこれまでは無理だろうといわれていましたが、100m単位で処理できる小型HTST機器が開発されました。今後、UV-Cも含めて日本母乳バンク協会でもより良い殺菌処理方法を導入してまいりたいと思います。
ただ、殺菌すればよいというわけでもありません。話は専門的になりますが、母乳中の細菌は児の常在細菌叢を形成するうえでも大切なものです。殺菌処理したドナーミルクには当然ながら細菌はありません。そこで、母親から得られた少量の母乳をドナーミルクに加え、その後にincubationし、児の母親の細菌をドナーミルクの中に増やして児に与えるという考え方も紹介されました。
世界中の母乳バンクで、母乳のすばらしさを余すことなく赤ちゃんにあたえられるよう取り組まれていることが分かっていただけたことと思います。

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